~白砂青松を夢見て~
こんにちは。3月初旬、はかた夢松原の会主催の下、一般の方々と一緒に、国営公園海の中道海浜公園内で行われた、クロマツ苗の植樹に参加してきました。わたしたち学生9名は矢幡先生のご指導の下、従来防風林に使用されるポット苗ではなく、芽苗(植えた当初はポット苗より小さい苗)が数年後ポット苗を追い越すほど成長することを明らかにするための試験地作りを行いました。
植樹もはじめてですが、研究の試験地作りも初めて。1年後または数年後、今日植えた苗が強くたくましく成長することを祈って(内心「潮風やポット苗に負けるなよ~」と語りかけながら)植えました。
詳しくは↓
集合時の天気はしとしと雨が降っていましたが、植樹する松にとっては大変良い天候となりました。集合場所は天神の日銀前、一般の方々約300名と一緒にバスに乗り、いざ海の中道海浜公園へ出発!
現場へはクロマツの間伐隊と植樹隊とに別れました。私たち西日本短期大学の矢幡先生と学生は皆植樹隊の方へと回ります。
はじめに主催の博多夢松原代表からの挨拶と植樹するに当たっての説明があり、さぁ植樹開始です!
しかし私たち西短は一般の方々とは違った方法でクロマツ苗の植樹を行います。
それはクロマツのポット苗と芽苗における成長比較するための芽苗の試験地作りです。
というのも、元来防風林を作る際のクロマツはポット苗で生産されます。しかしポット苗は、根が伸長する際ポット自体が根の行き場を妨げてしまいます。結果、根がポット内で螺旋状に成長(ルーピング)してしまい、こうなると根の伸長は遅くなってしまいます。一方芽苗は、根の伸長を阻害するものがないため、早い時期に伸長し、土壌中に根を長く拡げ、また活着率も高いと期待されるのです。
図:植樹1年後のクスノキの芽苗とポット苗の根茎形状比較例
ポット苗
芽苗 |
よって、今回西短は皆さんがポット苗を植えられている横でクロマツの芽苗で試験地を作り、皆さんが植えられたポット苗とで根と地上部の成長比較を行い、芽苗が今後の防風林づくりにどの程度役立てるかを研究していきます。
芽苗は大分県の㈱豊樹園の間地さんがあらかじめ用意して下さいました。1苗当り390円です。ビニールに入っていますが、土壌中に分解還元していく素材を使用しています。
植樹方法は適当な穴を掘り、ウッドエース(緩効性肥料)を4個入れ、苗を入れて土を(所によってはまさ土を混入)埋め戻すだけです。またより正確なデータをとるためにテープを張り、等間隔に植えます。ポット苗のような支柱は行いませんでした。
試験地はポット苗と区別され、またみなさんとは違う植樹方法でしたので、みなさん気になったのでしょう。「なにしているの?」と興味津々でした。
最後は参加したみなさんと一緒に集合写真を撮りました。
どうか10年後20年後美しい白砂青松となりますようにっ。
昼食後、海の中道海浜公園所長より公園植栽計画の公演を聴講し、間伐隊が行った間伐後の現場を矢幡先生ご案内の下見学に行きました。
間伐前(幹に巻いてあるテープは伐採せずに残すための目印です)
間伐後
マツ林を見ると林床を松の落葉した葉で覆われているのに気づきます。実はこの葉、一見腐葉土として松にとっては栄養になって良いと思われがちです。しかし松は潮風に強く、栄養や水分が少ない砂地でも生きていける特殊な樹木です。ですから腐葉土を必要としません。かえって土壌が腐葉土化してしまうと、他の樹種が入ってきてしまいます。松は陽の光を特に好む木(陽樹)で、陰地で生きていくことができません。また枝など一度枯れてしまうと、そこからは二度と芽吹くことはありません。ですから林床の腐葉土化は松の成長を脅かしてしまう原因となってしまうのです。
昔は松の枯葉は、お風呂の焚きつけなど生活に使われていたため林床も葉で覆われていることはありませんでした。しかしお風呂を薪で焚くところも珍しくなっている現代では松の枯葉は必然的に林床を覆ってしまうという訳です。
伐採した山盛りのクロマツ。ご苦労さまでした(でもこの廃材どうなるのでしょう・・・)
今回植樹から間伐を体験し、白砂青松にはたくさんの方々の協力あってのものなのだと感じました。また、間伐後の廃材や林床の枯葉等、今後松の防風林を作るに当たって、それをどのように今の私たちの生活へ活かしてゆけるのか、考えていく必要がありそうです。
海の中道海浜公園の松苗植樹は毎年開催されています。ご興味をもたれた方は是非ご参加下さい。
お問い合せ・お申し込みは「特定非営利活動法人 はかた夢松原の会」
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