「緑のしごと発見」も午前の項目が終わり、お昼を頂いてから、ちょうど午後1時から20分間の時間を頂き、樹木医入門講座を行いました。
樹木医制度とは
樹木医制度は平成3年に創設されました。昨年度末までに全国で2134名が登録され、福岡県内75名を数えています。
樹木医になるには、樹木医研修の受講資格が必要で、樹木診断などの業務経験が7年以上必要ですが、樹木医補の資格があれば、1年で済みます。本学で所定の単位をとれば申請だけで樹木医補の資格がとれます。
樹木が病気になるのはなぜ?
話は変わりますが、なぜ樹木は病気になるのでしょうか?生物は生きて行くためには、食べ物が欠かせません。植物は光合成によって食べ物を自分で作り出しています。何らかの原因で光合成ができなくなると衰弱して病原菌との戦いに負けて衰弱します。光合成が出来なくなる大きな原因として、根っこなど水の通路が痛み、葉が乾いてしまうからです。葉が乾けば、水ポテンシャル(圧力)が下がり、葉の吸引力が高まるのですが、それでも水が吸えなくなり、葉が萎れて気孔が閉じるために、光合成の原料である二酸化炭素が葉に届かなくなるためです。
「太宰府天満宮のクスノキ」の治療について(樹木の治療の実例)
1993年に太宰府天満宮の1本のクスノキ巨木が枯れました。別のクスノキも衰退し始めました。根が踏圧で痛んだことと、土壌にあるパイライトが酸化し酸性化したと推定し、養生のために大規模な土壌の入れ替えをしました。恐らく枯れるだろうと皆さんが予想していたところ、調べると葉の光合成は正常に回復していました。衰弱兆候を示していた18本のクスノキも養生工事によって見事に樹勢が回復し、大きな葉をつけた美しい緑が境内に戻り、安堵しています。
樹木医講座
その後は、6カ所で体験学習に別れ、その一つとして樹木医講座を樹木医でもある清水先生が担当されました。講義は、病原菌の同定に 遺伝子(DNA)分析がとても便利であるというお話でした。