2泊3日のサクラの巨木・古木調査、関係者の皆様お疲れさまでした。
今回の調査では100年以上生きている桜を見てきましたが、一口に“樹齢100年以上の桜”言っても、調査合計14本、どの桜もそれぞれ姿形や歴史や、環境が違って個性がありました。
サクラは、農作業の暦として、また豊作度合いを占うなど、古くから人々の生活に深く関わってきたものが多くあります。また、人が作り出したものでは、それをつくる人の個性や地域性、時代性が出ていると言われます。
野生のモノに比べ、人が作り出した品種は環境変化に弱く寿命も短いのが普通で、今回の調査では、そういった“品種の古木”が見られたのも面白かったですね。
『名護屋、法光寺の八重桜』の‘塩釜桜’という品種は平安・鎌倉時代につくられたサクラと言う説も。ちなみにこの桜は秀吉が朝鮮出兵の時に、その通り道沿いに寺があるのは不吉、ということで法光寺そのものが引越しを余儀なくされ、お詫びの気持ちに伊達政宗に持ってこさせて植えられたとのこと。宮城県の塩釜神社には以前個人的に‘塩釜桜’を見に行ったことがあったのですが、どうしてここにあるのかと思ったら、こんな歴史的背景があったんですね。
(宮城県塩釜神社の塩釜桜)
樹齢何と800年以上といわれる『伊万里の明星桜』も元は京都、壬生寺のサクラという伝説があるそうです。ここは有名な桜守である佐野藤右衛門(さのとうえもん)さんが関わって、生育回復をしているとのことで、古い幹はだいぶ前に枯れてしまったそうですが、新しい枝や根の生長が楽しみです。
OBの森さん、山口さん、貴重なお話をありがとうございました。
最近ではサクラの巨木・古木や名所を巡る観光客も増え、観光資源としても期待されていますが衰退が見られるものも多くあります。また、観光のための環境整備がサクラや地域住民のためになっていない例も多くあるのが現状です。
遠くからその時期だけ見に来る人はそれでいいのかもしれませんが、実際にはきれいな花を毎年咲かせるには手間もお金もかかります。
生育状況をきちんと調べることで、これからのサクラと人間と地域の関わりをよりいいものにできたらいいなと思います。
まだまだ色々な話はありますが、興味のある人は金澤研究室まで来てみてくださいね。