5月31日(金)の1年生総合実習では、林内間伐実習を行いました。
間伐の必要性
まず1限目は矢幡先生の講義があり、間伐の必要性や、森林の健全な育成に適切な密度について学びました。
森というと、人の手が加わることのない状態がいいと考えがちですが、人工林や人の手が入った森林では、手入れをしないと、木材もひょろひょろしたものになり、土も雨で流されやすくなってしまいます。また手入れされずに薄暗くなった林内では、外から見ると自然な状態に見えても、光が入らずに住める生き物の種類も限られてしまいます。
間伐は、混み合ってきた森林で、樹木の生育を良くするための、手入れの伐採です。適切な間伐によって地面まで太陽の光が入るようになると、草が生え、保水や土砂災害防止といった自然環境の保全にもつながります。また、最近では、森林の二酸化炭素の吸収の面でも間伐が注目されています。
今は、造園の仕事であっても、環境保全の視点を持った緑の管理が求められ、特に身近な環境のことを知り、保全する技術の必要性が高まっています。
間伐実習
講義の後は、二丈キャンパスからバスと徒歩で20分ほどのスギ林へ行き、実習を行いました。
実技講習では、櫻井先生と山本先生に指導をしていただきました。お二方とも「糸島市ふるさとの森林づくり」という森林ボランティアの活動をされています。櫻井先生の本業は造園業ですが、浮岳幸花樹園の園主でもあり(つつじ園を見学した時の記事はこちら)、地元の山を守る活動にも力を入れています。
まず、今日の実習の流れの説明があり、安全を常に確認すること、山に入ったら自分の身は自分で守るということをお話されました。
次に、先生お二方による間伐の一連の流れを見学しました。
午後からは、班ごとにわかれ、実際に林内の樹木(スギ)を伐採しました。
班員は、監督役や伐採役など、それぞれ役割をもって、実習を行いました。実際の間伐を行う際には、周りが手伝ってしまうと、緊張感が薄れたり、気がそれてかえって安全の確保が難しくなることもあり、ひとつの役割をやり通すのが原則ということです。
慣れないノコギリでの作業が大変そうな班もありましたが、手でノコを引いて、スギが予定する方向に、きれいに倒れる様子はなかなか見ごたえがありました。
ロープワーク研修・チェーンソー講習
ロープワークでは、今回は2種類の結び方(引き解き結び、ふた結び)を学びました。指導は古賀先生です。
また、より大きな樹木を対象に伐採を行うときのために、チェーンソーの扱いについても学びました。指導は大里技術職員です。
切り倒した間伐材は、売ることも難しく、なかなか活用までいかないのが現状だそうです。
まずはもっと山に興味を持ってもらいたいという、櫻井先生のお話が印象的でした。
今回はキャンパスの外での実習ということで、実技指導だけでなく事前の道具や場所の準備まで櫻井先生、山本先生にして頂きました。ありがとうございました。
実習を機会に、森林や環境についてはもちろん、二丈という場所がどのようなところかについても、学生の皆さんにもっと興味を持ってもらえたらと思います。